2016年2月21日

とりさんの「背景本」

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冬眠するときの食料貯蔵庫のようなイメージ。何かのときのために、僕はせっせと本をたくわえているのです。季節と違って、人生の「冬」は神出鬼没ですから、油断なりません。

 

user

とり

書店員
とり、本屋さんにゆく

「本屋さん」が生き残っていくために、自分にも何かできないかな、と思って、2004年に「とり、本屋さんにゆく」開設。「本屋さん」が生き残っていくために、もっと何かできないかな、と思って、2012年に書店員に復帰。

 

とりさんの背景本@自宅

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今江祥智『今江祥智3年生の童話1』(理論社)

小学生のときに親に買ってもらったもの。「こうなるだろうな」という予測を裏切る不思議な話が多くて、繰り返し読みました。大人になってからときどき今江祥智のエッセイも読むようになって、懐かしくなって実家から今の部屋に持ってきました。今回、久しぶりに中を開きましたが、挿し絵やせりふなどけっこう記憶に残っていて嬉しかった。知らないうちに「お話」を読む基礎体力を鍛えてもらっていたのかもしれません。

「おひめさまは、あの、かるくてきれいなアサガオもようのゆかたがきたくてきたくて、とうとうびょうきになってしまいました」(p.31)

 

 

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『新潮文庫解説目録 1990年1月』(新潮社)

小学校5年生の頃から新潮文庫で星新一を買い漁っていて、この解説目録もおそらくは、黄緑色の背表紙を探しに入った本屋さんでもらったのだと思います。浦安市東野にあった文教堂さんでしょうか。解説の長さやリズム感が妙に心地よくて、端から端まで読み尽くしました。気になった本のタイトルを抜き書きしたりもしました。今、見てみたら、鉛筆で丸がしてあるところがいくつかあって、持っている本に印をしたみたいです。小学生では読まなかったはずの本にも丸があったので、印をつけたのは中学校に入ってからかもしれません。ブログでついついやってしまう、気になる本をリストにする、という行為の原点が、ここにありました。

「星新一著 ノックの音が サスペンスからコメディーまで、「ノックの音」から始まる様々な事件。意外性あふれるアイデアで描くショートショート15編を収録。」(p.189)

 

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斎藤孝『自然体のつくり方』(太郎次郎社)

本屋さんの棚で見つけて、衝動買いした本。買ったのはたしか、こないだ閉店した友朋堂書店桜店じゃなかったか、と思って本を調べたら、やはりレシートが挟まっていて確かに友朋堂書店桜店でした。2002年3月に購入。当時は演劇をやっていて、「自分は言葉偏重で生きていて、そのことが自分を息苦しくさせているんじゃないか」というような感覚があって、言葉を離れて身体をクローズアップしてみたい、と思うきっかけになった本。後に、利賀演劇塾や岩下徹さんのワークショップに参加したのも、その延長だったのかしら。ぜんぜん読み返したりはしてないのですが、なんとなく自分の中で「大切な本だな」という位置づけになっていていつのまにか実家から持ってきてました。初読のときの幸福感や「きっかけ本」としてのステイタス(?)が作用しているみたいです。

「カベ押し○ 「腰で押す」押し方。足の裏で地面をつかみ、踏ん張りをきかせているので、膝を伸ばす力が有効に腰肚に伝わる。腹でぐっと息を溜め、下腹に力を入れる。ワキをしめることによって、腰肚の力が肘からまっすぐカベに伝わる。肘を絞り込む力もきいている」(p.71)

 

 

「旅」を終えて

自分のこれまで過ごしてきた時間、思い出や、一冊一冊に込められているエネルギーなど、膨大な宇宙が本棚にはつまっていて、探れば探るほどに深く遠くまで連れて行かれてしまう、ということを思い知らされました。なんとなく予感はしていましたが、少なくとも僕にとっては、本棚旅行は大冒険でした。うかつに旅立っては危ない、と思って少しずつ進めていたのですが、気がついたら引き返したり中断することができないところまで足を進めてしまっていました。冒険ってのは、予期せず巻き込まれるものなのですね。

「旅」の時間:4時間