2016年5月12日

本棚旅行 〜私の記憶の一冊にあなたはいないけれど

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一般批評学会 と一緒に本棚旅行をすることになりました。

一般批評学会は、批評を含むあらゆる専門性の外側で行われるなんとなく批評っぽい営みについて、みんなで考えたり実践したりする学会です。

本棚を端から端まで見るということは日常生活の中にはありません。人は読んだことがある本や興味のない本を目から飛ばしてしまう傾向があると思います
時間をかけて誰かの記憶をまとった本を発見し、集まったひとで共有しましょう。

 

mogu book presents、本と記憶を巡る小さな旅プロジェクト「本棚旅行」が一般批評学会に登場。会場は例の梅田の本屋です。
貸したり借りたり、勧められたりする中で、読み返す度に誰かのことを思い出す本があります。そんな本を書店の本棚から1冊選び、その記憶とともにその本をプレゼントしてみる/されてみる、そんな試みです。(mogu book サトウアヤコ)

2016年5月25日(水) 19:00〜(21:00くらいに終了予定)
梅田蔦◯書店内 ガーデンラウンジ
定員:4人(要予約)
参加費:500円+実費(お茶代+本代)
企画:サトウアヤコ(mogu book) ✕ 岩淵拓郎
主催:一般批評学会

 


レポート

ラウンジ

主催2人、参加者3人の5人で開催しました。

一般批評学会の岩淵さんのアイデアで、今回は自分の本にまつわる記憶の話をするだけではなく、「プレゼントする」という要素が入っていました。

小一時間、それぞれ書店の棚を巡り、自分の記憶を想起させる本を探してもらい、その中から1冊選んで買って持ってくるということに。

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ひとりずつ、この「プレゼント」の山から選びます。

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「プレゼント」した人が、「プレゼント」された人に、本にまつわる記憶を語りました。

よしもとばななの「アルゼンチンババア」。高校の同級生が好きだった本で、最近彼女のことを考えていたとのことでした。

(プレゼントされた岩淵さんの、よしもとばななの本にまつわる因縁はこちら。→「突然、アイツから歌が届いた。」 岩淵拓郎(編集者/一般批評学会) – OURS.KARIGURASHI MAGAZINE )

 

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プレゼントされた人とプレゼントした人。

クラフト・エヴィング商會の「アナ・トレントの鞄」。子育てで忙しい人のところに、非日常を感じさせてくれるような本が届きました。

 

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プレゼントされた人とプレゼントした人。

近くに住む友人のエピソードと、フランス在住時のサルデーニャ料理の思い出とが混ぜて語られました。サルデーニャのことは知りませんでしたが、とにかく全部混ぜて煮込みにしてしまう、ということは伝わりました。プレゼントされた人は、昔のホームステイ先(アメリカ)に近々行く予定があるとかでそこで作ってみるのも良いかも、とのこと。

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プレゼントされた人とプレゼントした人。この2人だけちょうどお互い交換になりました。

須賀敦子の「霧のむこうに住みたい」。(サトウの選んだ本) また違った形で、本と記憶にまつわる活動をしている人に、
数十年かけて記憶を練り上げ、本にした須賀敦子の本が届いてよかったです。
五味太郎の「正しい暮らし方読本」を、子どもの頃のおかあさんの記憶と共に、いただきました。

 

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一般批評学会と共同開催したことで、「記憶とともに本をプレゼントする/される」ということを味わう時間となりました。
その場でわりとぴったりの人にぴったりの本が届いた、という感触があり、みなさんのテンションも上がり、何かひどく特別なことが起こったような気持ちになって帰宅したのですが、それはどういうことだろうと、終わった後もずっと考えていました。あと「プレゼント」そのものが持つ暴力性についても気になりました。
「贈与」にまつわる文化人類学の本を読み、以前より関心があったクラ(南太平洋の複数の島で貴金属がぐるぐるとリレーしていく)、やポトラッチ(北米先住民で贈り物をやりとりする儀式。返礼が行き過ぎた結果もらった贈り物を即時破壊するなどの行動になっていく)についても改めて調べました。

 

交易する人間(ホモ・コムニカンス) 贈与と交換の人間学 (講談社学術文庫) 純粋な自然の贈与

 

「本棚の中から、この場の誰かにプレゼントする本を選んでください」という「贈与」、でもなく、
「本棚の中から、自分の記憶にまつわる本を探して選んで、交換しましょう」という「交換」、でもなく、
「本棚の中から、自分の記憶にまつわる本を探して」、「(無意識に場にフィットするようなものを選んで)プレゼントする」ということで、
宛先の無い、「純粋贈与」が発生したのだと思いました。

 

私自身も、学生時代、憧れていた先輩の本棚の思い出から、安部公房の「箱男」と「砂の女」のどちらかを出してこようかなと思ったのですが、
この場に出すには、という選択が働きました。

 
記憶xプレゼントは強いメッセージ性を生みます。独身の参加者が多ければ、恋でも生まれそう。
興味のある方はぜひ開催してみてください。