本棚旅行「とほん」 – あなたの本を探そう –
奈良・大和郡山の4坪の本屋さん「とほん」で、店主(!)含め、6人の方と一緒に「旅」をしました。
■本棚を探索する
■「旅行記」を書く
■発表(シェア)する
の3ステップで進めています。
事前に打ち合わせをしていて、店主砂川さんに、
菅啓次郎「本は読めないものだから心配するな」という本に、「書店の本棚はみんなつながっている」という
文章が載っていると教えてもらい、
「とほん」さんの本棚を「旅行」する、と言いつつ、これはどこかにつながる「入り口」を探しているということなんじゃないんですかね! という話をしていました。
菅啓次郎さんの本は私も好きで読んでいたので、本を旅する感覚の共通点を見つけた気がして、この企画を「とほん」さんで実現できてよかったなと思います。
本棚を探索する
自己紹介のあと、まずは本を探しに。本棚を全部見るつもりで、探してもらいました。数日前に下見したときより、本が増えていて、店主の本気を感じます。
自分でやってみて、普段、本屋さんで、「自分の知ってる/持ってる本は見ない」「変化があったところしか見ない」ということを無意識にしているのだなということに気がつきました。
「読んだことのある本を本屋さんで探す」というのは、日常的な行為じゃないんだと思います。
「本棚を全部見る」ということで言えば、この企画が思い出されました。
「 ブック・オン - 一日で書店の本棚を全て見る – 」|余所見
「旅行記」を書く
「旅行記」用シートはこちらで用意しました。
書くとなると、みなさん本を真剣に読み始め、静かで集中した時間が流れました。本屋さん(の隣のレンタルスペース)なのですが、図書室みたいな空気に。
一時間ぐらいかけて書いてくださいました。本は3-5冊選んでいただきましたが、書くのは3冊が限度という方が大半。
発表(シェア)する
「旅行記」を1冊ずつ発表していただきました。
「とほん」さんの本の中から、なぜその本を選んだのかというチョイスやお話から、その人の背景や価値観が垣間見える感じがします。
仕事で悩んだときに読んだ本とその場所、というお話も出てきました。また、雑誌「つるとはな」(年上の先輩の話を聞くというコンセプトの雑誌)の内容と、ご自分が高齢者と関わるお仕事をされていた話をからめてしてくださった方も。
店主が詩がお好きとのことで、詩に関する本がわりと多く、みなさんも1-2冊ずつ詩集や詩人の本を選ばれたことに、後になってから気がつきました。
それぞれにもうちょっと突っ込んでお話をお聞きしたかったな、と思いましたが、それをやると4時間コースになってしまうかも…。
店主砂川さんの旅行記
(画像クリックで拡大します)
砂川さんが、大和郡山の柳町商店街でお店をやっている話をからめてしてくださいました。
とても好きな詩人の詩集だそうです。寝る前にちょっとずつ読む、という楽しみ方はとてもいいなと思いました。
砂川さんは以前新刊書店に勤務されていたのですが、確かに書店員って読んでない本についても語らないといけない仕事ですね…!
本の紹介とも言える時間の最後に、この本が登場したのもなかなか興味深かったです。
「旅」を終えて
3時間、静かで集中した濃密な時間を過ごせたように思います。
4坪というちいさな本屋さんの棚から、何か自分と関係のある本を探すのは難しいこともあるかな、と思っていたのですが、
仕事に迷ったときに読んだ本、子どもの頃から何度も読んでいる本、借りたまま返せなかった(!)本、それぞれの背景や価値観が垣間見えるお話を聞くことができました。あまり話すのが得意じゃないけれど、「旅行記」書くことで話をしやすかったという感想もいただき、まさにそれを意図していたのでとてもうれしかったです。
イベント後に、「とほん」さんに伺いまして、本棚でみなさんの本を探しました。
その人の話と気配をまとった本が、目に飛び込んでくる、という感じがありました。
すぐ読みたくなる、欲しくなる、というよりは、手に取ったり、図書館で借りてみたりしていつか、その本か、そこから派生して別の本を買うかもしれない、と思いました。
これが、事前に考えていた”本が「入り口」になる”ということではないかと思います。
実際、私自身も手持ちの詩人の本を読み返したり、図書館で借りたりするようになっています。
参加された方に、後日談をいつか聞いてみることができれば。そしてまた改めて、 とほんさんに来られた時に、先日発見された本を見つけて思いを馳せてもらえればと。